NPO法人フリースクール
阿波 風月庵 -ふうげつあん-

ピアサポーターの存在

かぜさんの「体験談」;1

私もピアサポーターです。

ピアサポーターとは、ひきこもりや不登校経験があって、ひきこもり気質を持っていることで社会で苦労してきた仲間・先輩が支援に携わっている人を言います。もちろん、私もピアサポーターです。

ピアサポーターは指導者として、牽引していくようなことは避けます。どちらかというと一緒に失敗経験をして、笑い合える存在と言えます。

もう少しだけ生きてみます

同じような経験をしていますので、雰囲気から、ご本人の気持ちや考えが伝わってくることがあるのです。それを言葉にしながら「ご本人の言葉で話せるように」後押しをさせてもらいます。

自分がピアサポーターであって、ありがたかったと思うことがあります。M君宅に初訪問した私は、うつむいたままで反応の少ない彼の表情に、何処まで私の話が届いているのか、不安でした。そして席を立とうとした時、彼が口を開き「かぜさん、もう少しだけ生きてみます」と、いってくださったのです。

彼にとってはそこまで深刻な状態だったのかと、私の方が驚きました。

言葉にしなくても、解ってくれる

それから時々「かぜさんは、言わなくてもわかってくれているから」と、言ってくれることが何度かありました。

A君は、お母さんと面談に来られました。黙ったままで、ポツリポツリと一言二言を話して帰られます。2ヶ月後、面談を打ち切ると、お母さんが唐突に話し始められました。その時迄無口だったA君が必死に、懸命に、ここに通いたいと訴えてくれました。母の答えは変わる筈もありませんでした。

そのA君も「かぜさんは言葉にしなくても、解ってくれるんよ。」と言ってくれました。この「かぜさんは解ってくれる」が、いいことばかりに動く訳ではありません。

お母さんに、叱られたことも

親御さんの面談で良く起こる現象です。ご本人のお気持ちを説明することに、一生懸命になりすぎた私は、お母さんやお父さんの気持ちに配慮が届かず、親御さんを責めてしまっている様になる時があります。

先のA君お母さんの様に、叱られることもありました。「かぜさんは、ひきこもりの子の気持ちは理解できても、ひきこもりの子供を持つ親の気持ちは分からない」と指摘されました。

ピアサポーターとして最も注意すべき点と、今も、気に留めながら、親御さんとの面談に望んでいます。 私のピアサポーターとしての特性も、いい面に働くこともありますが、悪い面となって現れることもあるのです。       かぜ

注;この話しは、プライバシーを守る観点から、いくつかの事例を合わせ、一般化した内容です。