NPO法人フリースクール
阿波 風月庵 -ふうげつあん-

父 親 の 会

大阪の老舗ひきこもり支援団体に伺った時に、「父親の会」に参加しました。その時の想いで、早い時期から、家族会と別に「父親の会」を月一回開催してきました。12月に忘年会を持つ様にもなりました。

ひきこもりからの脱出には、父親の役割が大きいことに気付かされたご家族の話しです。

初めて相談に来て下ったのはY父さんで、息子さんのことをとても心配されていました。早々に家族訪問(本人抜き)を始めることになり、ご両親と私の3人で話をしていました。

その後、ご本人が一緒に入って下さり、ご本人との会話をゆっくりと出来るまでに数ヶ月かかりました。

「そろそろ精神科病院に行くか、風月庵に行こうか」と、ご両親が提案されました。

先ず、隣町のクリニックに行くこととなり、受診の順番を待っていた時のことです。急に不安が膨らみ、飛び出していました。

次は、風月庵に行くこととなり、私も一緒に風月庵を案内していました。部屋の壁には、メンバー制作の貼絵作品が飾られていました。それが目に入ったとたん、彼はぶるぶると震えだして、気づけば風月庵を飛び出していました。

その頃のY父さんは、ある現場を任され、夜中12時頃帰宅する毎日でした。ある夜、帰宅すると、母が悲痛な顔で父をみつめながら、メモを渡されました。そこには「死にたい」の文字が?

疲れ果てていたお父さんはどうしてよいかわかりません。お父さんも仕事現場で精一杯でした。

今、お父さんは逃げ出したい。今はつらい。初めて、正直に気持ちを話していました。

その翌日、彼は一番近い精神科クリニックを受診し、通院することを決めました。そして風月庵にも通い、仲間との交流が始まったのです。

「父親の会」で、お父さんが弱みを見せてください。身近なお父さんになってあげてくださいと、お話していました。父親が弱音を正直に見せることで、息子さんが勇気を持ち、自分で決断したのでした。

「父親の会」をしていなかったら、その辺の意味合いがわからなかったと思います。

自分の子どもの不登校を前に、何をすればよいかわからなかったお父さんが、子どもとやり取りしながら、息子と向き合いながら、一緒に父親の役割を作っていくことが、徐々に私たちも解ってきたのです。

そこで、気持ちを、考え方を、行動を変えていこうとするお父さん達が、工夫と努力を始め、子どもと共に成長されているのだと思います。    かぜ

注;この話しは、プライバシーを守る観点から、いくつかの事例を合わせ、一般化した内容です。