NPO法人フリースクール
阿波 風月庵 -ふうげつあん-

死に切れません

少し前に、あるお母さんから電話をいただきました。「始めてお電話いたしますが、今、お時間よろしいですか?」その第一声で、こちらに伝わってくる緊迫感がありました。

子どもから暴力・暴言を受け続けて困り果てている場合と、見守り続けて万策尽きた場合との、どちらかの様に思われました。

色んなところへ相談にも行かれたのですが、何処も話は丁寧に聞いて下さり、アドバイスをいただくのですが、我が家に合う具体策とは思えないらしいのです。

部屋に閉じこもったまま、長く会話もしたことがありません。何回も同じ言葉で責められてきました。

「このままの息子を残して、死んでも死に切れません」と、42歳の息子さんを思う74歳のお母さんのうめき声を、今も忘れません。

時間はかかりますが、互いの気持ちの安心を取り戻すと、会話も出来る様になります。

その3年後に、お母さんは、息子さんから感謝の言葉を頂くことになりました。 ひきこもった子どもの心を支え、見守っていける存在に、親御さんがなれれば、子どもは社会に向かい歩み始めます。

ひきこもっていることも、無言で居ることも、暴力・暴言も、子どもから親(社会)への「心の叫び(メッセージ)」なのですから。           かぜ