NPO法人フリースクール
阿波 風月庵 -ふうげつあん-

体験談;あの時、逃げ出した僕

「見られているという気持ち」

ひきこもりになってすぐの頃の話です。僕は一人暮らしだったので、食べ物などは買いに行かなければなりませんでした。

その時に、ひきこもる以前の僕を知る人達に、今の僕を見られたくない という気持ちを持っていました。

当時その気持ちは非常に強く、今でこそだいぶマシになってきていますが、無くなった訳ではありません。

今でも人の集まりそうな所に行かなければならない時など、必要以上に身構えている自分に気づきます。

僕の場合、知人に見られることを極端に恐れていますが、それ以外にも、誰かに見られているのではないかと感じてしまうことは多々あります。心療内科や風月庵でお話を聞くと、「社交不安障害」の症状の一つだったことがわかってきました。

僕の場合は、部屋にいる時に外に人がいて、見張られているような感覚がありました。他の人の話を聞くと、買い物の時や、食事の時に他人が自分を見ているような気がするというお話があり、いろんなパターンがあるのだな、と感じました。

今のダメな僕を見られたくない

風月庵での学習を通して、僕が持っていた気持ちは、ただ単に[今の僕を見られたくない]のではなく、[今のダメな僕を見られたくない]の方が近かったと思うようになっています。

しかし、その気持ちは、そうだと分かったからといってどうにかなるものではありませんでした。

先日ちょっとした事情から、昔の僕を知る人と偶発的に会ってしまいそうになった時に、僕は、その場から走って、逃げ出してしまっていたのです。後から、その時僕が取った態度は、相手のことを傷つけてしまったのではないか、なぜ逃げ出したい気持ちを我慢できなかったのか、など、色々考えてしまいました。

その症状とのうまい付き合い方を探っています

ただ、不安を和らげる薬のおかげか、最近はだいぶん他人の視線を感じるようなことは減ってきました。

しかし、それでも0にはなっていません。また、薬の副作用で生活リズムを崩してしまったりもしています。幸い、心療内科の医師、風月庵のかぜさんや同じような境遇の仲間と相談することができる環境にいることで、安心できていると思うのです。

その症状自体や、薬とのうまい付き合い方を探っていき、安定した生活を確保していきたいです。               H.K

注;この話しは、プライバシーを守る観点から、いくつかの事例を合わせ、一般化した内容です。