NPO法人フリースクール
阿波 風月庵 -ふうげつあん-

言葉を失っている

「嫌!」「放っといて!」あるいは、無言でかたくなな態度を見せられると、親御さんは拒否されたと感じます。また、攻撃的・反発的な態度が続くと、もう取り返しのつかない状況と思い込み、声かけも接することも出来なくなっていきます。

そんな状態が続くと「どう接すればよいのか?」分からない母さんは、先に先に気を使うようになって行くのです。すると、「うるさい!それが余計じゃって言うんじゃ!」と、即反発が返ってきます。

そこで父親が間髪を入れず「親に向かってなんてことを言うんだ!そんなことも解らんのか!」と、叱り付けます。結果、お子さんは親に一切話しかけることを諦め、徐々に言葉を失っていくのです。

よくある話ですが、「突然、学校に行かなくなったのです。理由を聞いても云ってくれません。どうしたらいいのでしょうか?」と問われます。

私は、「まず、話を聞いてあげることです。

その為に、親子の安心感・信頼感を、取り戻すことから始めましょう。」と答えます。

腫れ物に触るような雰囲気が日常化している内は、何事も安心して話せる関係(雰囲気)が生まれるのは難しいです。その関係(雰囲気)作りから、始める必要があります。

お子さんの横に黙って座り、好きなお菓子を一緒に食べて、「美味しかった。ご馳走様。」と、そのまま席を離れます。1回目は無視され、頑な態度で、お菓子には手もつけませんが、そこから始まります。

2回目は、見ますが食べません。部屋から出て行ってから食べています。この1回目と2回目では違いがあります。そこを見つめてほしいのです。

子どもが親御さんの出した物を食べてくれるかどうかは、大きな判断点です。 世界の誰も、勿論、親も信用しないぞ! の時代は冷凍物しか食べない子もいます。

3回目は、黙って一緒に食べてくれますが、無言のまま「本当は要らない。食べたくない。」の態度を残しています。

4回目になり、一緒に食べて、「ちょっと、甘すぎるわ!」と、嫌みを付け加えてきます。

5回目になり、やっと「おいしかったよ。」の言葉が返ってきます。この「気持ちを表現した言葉」が出てきて、会話が始められます。

では、話をする前に何をするのでしょうか?   私は「非言語の読み取り」と言っています。

子どもの表情や、態度は勿論、行動様式、生活の様子、部屋のゴミの位置、壊した物の状況で、あらゆる行動の変化から些細な違いを観て取り、「気持ちの変化」を読み取ることは可能なのです。

その読み取りから、その内容を言葉にして「こんな気持ちなのか?」と、ご本人に聞いてみてください。

会話は、子どもからの言葉を求めず、親が、子の「気持ちを言葉にする」から始めます。    かぜ