あの時の子供が このジジイを励ましてくれる
ひねくれ者が、なんとか
72歳の年金暮らしの高齢者境遇です。後、何年自分の身体と気力が持つのかは、いささか不安な年齢ですが、ボランティアの活動に参加し始めました。
出世と金儲けが下手で、不器用者のくせに、自惚れが抜けないひねくれ者が、なんとか
ここまで生き延びてこられました。
今、生きづらい気持ちを抱えた状況のまま暮らしている若い人に、何がしかの励ましを、感じてもらえればという想いからです。
私の「落ちこぼれ」を経験の話です。
最初は小学校の一年生の算数でした。繰り上がり、繰り下がりがどうにも呑み込めず、テストの度に0点のパレードです。
心配のあまり、つきっきりの親の指導は、結局、本人の理解力のなさに両親共、頭に血が上り、「もう知らん」と怒り出しました。
暫くして、気を取り直すのですが、どう教えたらよいか、親も解らずじまいでした。
何冊も買ってきた教師用指導書や問題集を見ては、ため息をつく始末なのです。
小さい時はあんなに賢い子やったのに・・・
怒ることしかできない母親にも、ここまで馬鹿な自分にも腹が立って情けなかったです。
布団の中で、一人泣いていました
「一生アホな子と言われ続けるんかいな。」
そう思っても、言い返すこともできずに、夜、布団の中で、一人泣いていました。
でも、いつの間にか、朝は来ました。
「親も、先生も、もう当てにはならん。」
眠れぬ夜、布団の中でまんじりともせず、両手の指と一桁の数を突き合わせていました。
ワシの馬鹿!馬鹿!
10本の指で足りなくなったら、違うものを使わんとあかん、そうだ足の指を使おう。
手の指が一杯になったしるしに、足の指を一本、旗にしよう。
そして手の指は、全部、空にする。
足指一本と手の指は空っぽ、つまり・・・1(足)と0(手)。
あ、そうかこれが繰り上げか。それで、まだ余るのは手の指に残っている。
繰り下げはこの逆になるだけか。
なんだ!ちくしょう。ワシの馬鹿。馬鹿。
悪あがきを続けてきました
あれだけの情けなさと口惜しさと、自分の孤独な作業の積み重ねが、ようやくここまで私を連れてきてくれたと思いました。
どんな意見だろうと、誰が言ようと、自分で納得できないうちは、受け入れなくていいと、思える様になれたのです。
わかるというのは、目の前にあるかの様にくっきりと見えること。
その後も、何度も落ちこぼれました。
無力で孤独で、愚かしさから抜けられず、生きるために、悪あがきを続けてきました。
それでもまだ、「生き延びろ、生きていたら、弱い者でもたじろがず、見返せる時は来る」
と、あの時の子供が、このジジイを励ましてくれるのです。 KR