コミュニケーションとは?‐2 「喧嘩のやり方」で、家族の特徴が見える
やりくりするところから生まれるのが我が家流
風月庵流は、誰かが講義をして、答を出す、何かを教えて貰うことではないのです。
答は、皆の話し合いから、出てきますし、実際の答は、やりながらある時に、ひょっと見つかる類のものだと考えているのです。
誰かが教えてくれたものを、練習するのも一つですが、あれこれやりながら、一人一人と、家族皆で、頭を合わせて、やりくりするところから生まれるのが我が家流といえます。なので、そのヒントや気づきを得ることが大切であって、実際の自分の家族に対しては、そのままでは通用しないのが常であります。
奥の謙虚さが肝心
まず「喧嘩」を悪いイメージで捉えているとすれば、そこから見直すべきです。多くのご家族が、この「喧嘩の手引き」を家族の課題として、学びに来ている場合も、結構あると思うのです。自分の言いたいことを、感情に任せて放言することは、言いたい放題であって、喧嘩には至っていないと思います。
しかし、そこから喧嘩は始まります。多くの場合、腹が立つことをぶちまけたと言うスタイルでは伝わりにくい様です。「自分の気持ちや考えを、感情と、勢いでしか伝えることが出来なくて、ごめんなさい」心の奥で「分かってほしい」の謙虚な自分を認めていれば、下手な伝え方でも、伝わる可能性は上がります。
この奥の謙虚さが肝心なのです。そこが相手に伝わると、後で「そんな考えを持っていたのか、そんな気持ちだったからか」と、相手も冷静だと納得できて、素直な気持ちになれる様です。
家族から心の安心を求めている
しかし、「何故、私の考えが、当たり前なこの気持ちが、あなたには理解できないの(だ)!」と、相手を責める気持ちが、奥にある場合、その責められることへの反発から自分を守る言動をとっているのです。
結果、反発するか、合意せずとも、表面は従い、やり過ごすかのどちらかになります。自分の考えや、素直な気持ちを伝えられていないばかりか、溝を深めている様です。ご家族の中で安心して自己表現が出来ない状態から「ひきこもり」状態は生まれてくる可能性が高いと見ることができます。
当事者は、家族から心の安心を求めているのですが、自分の求める様に与えてもらっている実感がなければ、心のネグレクト(飢餓)状態となっていきます。この状態が長期化すると、心の傷(トラウマ)として残っていくことが想像できます。ですが、ご本人もご家族も心のネグレクト状態を、全く自覚されていないのが常です。
そこでは、安心して親子喧嘩が出来なくて、心理的環境=心のネグレクト状態が維持されているからと疑ってみて下さい。
コミュニケーションの境目を、瞬時につかむ直感
言いたいことを言われると、傷つきます。傷つくことを言ったり、言われたりして、ギリギリで本音を伝えるところから、関係力は身につくと思われます。そのギリギリを身に付ける為には、喧嘩をしながらも「この状況ではこれ以上は控えた方がよい。」「今の状態なら一歩踏み込んで言える?」等、コミュニケーションの境目を、瞬時につかむ直感を育てていると思います。
そのためには、信頼できる関係間で喧嘩をすることにより、そのギリギリ感覚をつかみ、身につけていけると考えています。
子育て時に得られる宝物(コミュニケーション)の伝授
そのことをお互いに了解した、安心できる関係間(親子・兄弟・友人・師弟)で、色んな種類や程度の喧嘩を経験し、仲直りする技術をも含め共有することで、その関係間も、信頼を深めていくというものです。
風月庵では、父親と喧嘩した経験がないのでしょうか、私に喧嘩をふっかけてきたなと思う強者が、今も昔も居ます。「何故、僕に向かってくるの? 自分の父親にぶつかってよ!」と、思ってしまう場面が時々あります。
夫婦喧嘩もそのひとつで、育ってきた環境が違う二人が一緒に生活しているのです。お互い、嫌な気持ちを思わずぶつけながら、意見の違いをギリギリ尊重したい意思との葛藤から、自分の気持ちや意見も伝え合う工夫を重ねていると思うのです。
そんな色んなバージョンの喧嘩のやり方を開発していく展開こそ、子育て時に得られる宝物(コミュニケーション)の伝授となっていきます。
夫婦喧嘩のやり方が成長することなく、お互いへの理解や気持ちの共有や、いい雰囲気での謝り方も開発できず・・・、同じ様な喧嘩を繰り返していませんか?
又は、あらゆる工夫はしつくしたと 諦めて、もうご家族間でコミュニケーションを育てることは無理と考えていませんか。
喧嘩のやり方を研究開発する
豊かな喧嘩のやり方を開発できていない家では、各々に言いたいことが言える安心感が家庭に養われていないのではないでしょうか? そんな家庭の環境の中で、子育てが心豊かに行われるとは想像できないのです。それならば、好い喧嘩の進め方を、お互いに話し合って、ヒントを搾り出そうというのが、今回の提案なのです。
喧嘩のやり方を研究開発するような手だてはあるのでしょうか? 各家庭・各個人で違うのだから、自分たちで工夫するしかないのでしょう。
始めてみると、家族同士での情報交換から、気付いてきた点も沢山ある様です。しかし、気づきはあっても、実際の各家族間で研究開発が進まない家もあります。
その違いが何であるかも、他のご家族からお話を聞いて、見つめて欲しいのです。 かぜ