NPO法人フリースクール
阿波 風月庵 -ふうげつあん-

訪問支援活動の実際

一緒に話す、一緒に行動する

活動当初には、ご本人と会ってお話しする、一緒に出かけるために、直接ご本人への訪問活動から始めました。しかし、伺っても、話にはなりません。それでも一緒に話す、一緒に行動することを心がけました。

ご本人の興味に添い親交を深めていきます。一緒に旅行にも出かけました。

話しのやり取りは傾聴を基本とします。こちらから話しかけて、ポツリポツリと応えて下さるのは、まだいい方です。無言や、理解に苦しむ表現や、どこか拒否された態度で接し続けられると、訪問させてもらう方も、辛くなってきます。

せっかく話し始めたから

Sさん→「こんにちは」と玄関に入ります。ぽそりと拒否的な態度か、無言です。それでも傾聴を基本と考え、少しずつ話しかけ、ゆっくりと聞いていきます。暫く話して「そろそろ帰ります?」と切り出すと、「せっかく話し始めたから」といって、ご自分の部屋へと案内してくれます。

整理整頓がきちっとされた簡素な部屋です。何処となく女の子らしさもあり、大好きな漫画のキャラクター画を見せてくれました。

関係を育てるには、3ヶ月~1年という長い時間と、安心を丁寧に届けることで何気ない信頼感を持つまでには、お互いに神経を使う時間を共有することになります。

頑なに拒まれている感じ

頑として喋られなかったⅠさんです。訪問前に電話をします。「これから伺ってもいいですか?」とお聞ききしますと、「・・・はい!」と返事をくれます。玄関で、ブザーを鳴らすと、部屋に案内して下さり、私の前に正座で座り、黙っています。色々と声掛けしても、頑なに拒まれている感じでした。

そこで当時の風月庵仲間に頼み、一人ずつ一緒に訪問し、彼の前で、いつもの調子で、お喋りを続けていました。訪問の6ヶ月後より、表情が緩んできて、皆でゲームを楽しめるようになりました。

それから6ヶ月後、彼から「風月庵に通いたい」との申し出がありました。

つまらないなあ!

Kさん→中学は途中から登校となり、高校入学直後、再び不登校状態になりました。風月庵では18歳未満のお子さんには、不登校になると最低3ヶ月はゆっくりと休ませて、「心の力を蓄える」ことを優先させてあげてくださいと、ご家族にお願いしています。

4ヶ月後の9月頃、「つまらないなあ!」の言葉が連発する様になり、本人の了解を貰い、訪問に伺うことになりました。初対面なのに、Kさんは流暢に話しかけてくださり、1時間の面談は終わりました。

しかし、私は頭を抱えました。というのも、後半は、「姉を殺したいから、どんな殺し方がいいですか」と、いう相談?を持ちかけられたのです。ところが、1週間後の訪問で話し始めると、お姉さん殺人計画は全くありません。私も殺人計画の話は一切しませんでした。

一緒にゲームをして、飼い犬のこと、今後何をしたいか等、楽しい話題ばかりでした。     かぜ

注;この話しは、プライバシーを守る観点から、いくつかの事例を合わせ、一般化した内容です。